かばん屋の相続

かばん屋の相続

池井戸 潤

出版社:文藝春秋 出版年月日:2011/04/01

文藝春秋 | 2011/04/01

3.50
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

最近SNSで話題になってたから読んでみました。短編集ということで、気軽に読める点は良かったです。 表題作の「かばん屋の相続」は、家族の葛藤と会社経営の問題が絡み合っていて、設定としては興味深いんですよね。銀行員の視点から見た相続問題って、普通の家族小説とは違う視点が得られるのかなって期待していたんです。ただ、読み進めてみると、どうにも淡々と進む感じで…。登場人物たちの心情がもう少し深掘りされていたら、もっと引き込まれたのかもしれません。 他の短編も含めて全体的に「ビジネス×家族」という組み合わせはまとまっているんですけど、各編が短いゆえに、テーマが活かしきれていない気がします。もっと長編で読みたかったな、という感じ。 決して悪い本ではないんですが、特に心に残る一編があるわけでもなく…という感じで終わってしまいました。話題だから読んでおこうかな、くらいの感覚なら満足できると思いますが、期待値が高いと物足りなく感じるかもしれませんね。

感想

相続問題って、ドラマでもよく取り上げられるテーマだけど、この短編集はそれを本当にリアルに、そして温かく描いているなって感じました。 表題作「かばん屋の相続」は、一見すると親の遺産をめぐった兄弟の争いという、ありがちな設定なんです。でも読んでいくと、父親が本当に願っていたことが少しずつ明かされていって、登場人物たちの複雑な気持ちが痛いほど伝わってきます。銀行員という立場から物語を見つめる小倉太郎というキャラクターが上手いんですよね。彼を通すことで、家族の問題に少し距離を保ちながらも深く向き合うことができる。 他の五編も、どれも人間関係のもやもやした部分や、決して派手じゃないけど大事な瞬間を丁寧に拾い上げている。どれか一つが特別に好きというより、全体を通して「人生ってこういう複雑さがあるんだよな」って感じさせてくれる。短編だから気軽に読めるし、でもちゃんと考えさせてくれる。読み終わった後、ほっこりというより、なんだか心が静かになった感じです。

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