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かばん屋の相続

かばん屋の相続

池井戸 潤 文藝春秋 2011年4月1日

感想

相続問題って、ドラマでもよく取り上げられるテーマだけど、この短編集はそれを本当にリアルに、そして温かく描いているなって感じました。 表題作「かばん屋の相続」は、一見すると親の遺産をめぐった兄弟の争いという、ありがちな設定なんです。でも読んでいくと、父親が本当に願っていたことが少しずつ明かされていって、登場人物たちの複雑な気持ちが痛いほど伝わってきます。銀行員という立場から物語を見つめる小倉太郎というキャラクターが上手いんですよね。彼を通すことで、家族の問題に少し距離を保ちながらも深く向き合うことができる。 他の五編も、どれも人間関係のもやもやした部分や、決して派手じゃないけど大事な瞬間を丁寧に拾い上げている。どれか一つが特別に好きというより、全体を通して「人生ってこういう複雑さがあるんだよな」って感じさせてくれる。短編だから気軽に読めるし、でもちゃんと考えさせてくれる。読み終わった後、ほっこりというより、なんだか心が静かになった感じです。

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