ペンネームの本棚
感想

定年後の人生について、漠然とした不安を抱えていた矢先にこの本に出会いました。主人公・田代壮介の戸惑いと葛藤がこんなにもリアルに描かれているとは。 仕事がすべてだった人間が、突然その立場を失ったとき何が起こるのか。キャリアの挫折、家族との関係、社会での自分の価値。本書はそうした誰もが直面する可能性のある問題を正面から扱っています。特に、田代が「これから何をすればいいのか」と試行錯誤する姿勢には、35歳の今の私も考えさせられました。 人生の後半戦をどう生きるか、という普遍的なテーマながら、現代的な問題設定が秀逸です。子会社への転籍という昨今の企業事情も織り交ぜられていて、他人事とは思えません。読んでいて胸が痛くなる場面もありますが、同時に希望も感じられます。 重いテーマながら読みやすく、気軽に手にとれる文庫版というフォーマットも嬉しい。人生について考えるきっかけが欲しい方、あるいは将来への漠然とした不安がある方に強くお勧めします。

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