育休中に1億円貯めたというフレーズに惹かれて手に取ってみました。確かに実績は凄いし、4つのステップという分かりやすい投資戦略が示されているのは良いところ。ただ、正直なところ、本の内容が著者の成功体験に偏りすぎている感じがします。 育休というある種の時間的余裕がある特殊な環境での投資戦略が、そのまま一般の読者に応用できるのかは疑問。また、「授乳しながらデイトレード」というキャッチコピーは目を引きますが、実際には綿密なリサーチや判断が必要な投資を、そんなに簡単に並行できるのか、少し現実的でない印象を受けました。 投資のメソッド自体は理解できますが、リスク管理についての記述が意外と薄いような気も。確かに短期トレードで月1000万円稼ぐのは素晴らしいですが、市場が急変した時の対応策や、失敗事例もあればもっと説得力が出たと思います。大学院の研究と並行して読む身としては、もう少し客観的で冷徹な分析が欲しかったかな。
最近登録された他の本の感想
2026年06月14日
書店という場所の魔力にすっかり引き込まれました。こんなに温かい物語があるんだって、読み終わった後もしばらく余韻に浸ってました。 フィクリーという店主のキャラクターが本当に素敵なんです。捨てられた幼児マヤを見つけて育てるという、普通では考えられない出来事から始まる物語なんですけど、不思議と自然で、むしろその愛情の形に引き込まれる。本を通じて人間関係が紡がれていく様子が、大学院で様々な専門書に囲まれている私にとって、本当に心が温かくなるような感覚でした。 島という限られた空間で、書店という限られた場所で、それでも広大な世界が広がっていく。本ってそういう力を持ってるんだって改めて気付かされました。重い雰囲気ではなく、気軽に読める優しさの中に、人生について考えさせられる深さがあるのが最高。 本好きな人はもちろん、そうでない人にも読んでほしい一冊です。疲れた時の最高の相棒になると思います。
2026年06月13日
ポムポムプリンが30周年を迎えたということで、思わず手に取ってしまいました。大学院の忙しい日々の中で、ふと懐かしさに包まれたくなったんです。 このアートブックは本当に素敵。1996年のデビュー当時の手描き原画を見ると、時間の経過を感じますね。あの頃のゆるくて優しいタッチがそのまま残っていて、懐かしさと親しみやすさが詰まっています。グッズの進化もおもしろくて、昔好きだったアイテムから最新デザインまで、眺めているだけで時間が経ってしまいます。 新作の「チームプリン漫画」も良かった。キャラクターたちの掛け合いが自然で、短編ながらもプリンの世界観が上手に表現されています。 ただ、もう少し描き下ろしコンテンツが充実していたら、さらに満足度が高かったかもしれません。それでも、ファンなら絶対に持っておきたい一冊です。論文の息抜きに、何度も開き直しては癒されています。
2026年06月10日
大学院の研究に区切りがついたので、新しいことに挑戦してみたいと思い、簿記2級の勉強を始めることにしました。正直なところ、簿記なんて退屈だろうなと思っていたのですが、この教科書はその予想を見事に裏切ってくれました。 何より素晴らしいのは、「なぜそうなるのか」という理屈をしっかり説明してくれる点です。単に仕訳のルールを暗記させるのではなく、会計の考え方そのものから丁寧に解説されているので、頭にスッと入ってきます。図解も豊富で、複雑な取引も視覚的に理解しやすい工夫がされています。 さらに無料の講義動画が提供されているのは本当に助かります。教科書で理解できなかった部分を動画で確認できるし、講師の解説が噛み砕いていて親切。気軽に勉強を続けられる環境が整っているのは大きな魅力です。 強いて言えば、問題量がもう少し欲しかった気がしますが、基礎をしっかり固めるという目的では完璧な一冊だと思います。簿記初心者で、「難しそう」と躊躇している人にこそおすすめしたいですね。
2026年06月08日
直木賞受賞作ということで期待して読み始めたんですが、正直なところ「あ、そっか」くらいの感じで終わってしまいました。下巻ということもあって、上巻との繋がりがあるのかもしれませんが、この一冊だけで評価するとやや消化不良感が残ります。 セブ島を舞台にした冒険小説というコンセプトは面白いし、トシオという少年キャラクターの成長過程を描いているのも悪くない。ただ、ページを進めていく中で「あ、こういう展開か」という予想がつきやすくて、驚きや新鮮さに欠ける部分がありました。 とはいえ、少年が大人へと変わっていく過程や、複雑な人間関係の中での葛藤は丁寧に書かれていたと思います。読みづらくはないし、エンタメ性もそこそこある。大学院の研究で疲れた時に、ぼんやり読める本として考えるなら、それなりに価値はあるかな、という印象です。特に強く推したいわけではありませんが、嫌だったわけでもない。そんな一冊でした。
2026年06月08日
ヨルシカのn-bunaが手掛けた本作は、本当にユニークな体験ができます。封筒を実際に開けながら読み進める形式って、最初は珍しさに戸惑ったけど、読んでいくうちにこの仕掛けがすごく効果的に働いていることに気づきました。 詩を書く少年と先生との文通を通じて、創作とは何か、表現とは何かが問い掛けられていく。その問い掛けが、読者である私自身にも向かってくる感じがあって、ただ物語を追うだけじゃない没入感があるんです。 n-bunaの歌詞で感じる繊細さや哲学性が、ここでも全力で展開されていて、ヨルシカの世界観をより深く理解できた気がします。ただし、読み終わった後に「それで?」という感覚が少し残ったのは正直なところ。体験型という形式が先行してしまって、ストーリー自体の着地がもう少し欲しかったかな。 それでも、新しい文学の形として、また一人の表現者としてのn-bunaを知る作品として、充分に価値のある本だと思います。
2026年06月07日
大学院の研究で偏微分方程式を扱うようになって、この本を手に取りました。正直なところ、最初は「関数解析って抽象的で難しそう…」と構えていたんですが、読み進めるうちに考え方がスッキリ整理されていくのを感じました。 著者の工夫が素晴らしくて、積分方程式という具体的な問題から関数解析の概念が自然に導き出されるように構成されているんです。抽象的な理論も、関数空間という舞台を通してイメージしやすくなります。特に偏微分方程式への応用に焦点を当てているおかげで、「これって実際に何に使うの?」という疑問がほぼ湧きません。 演習問題も適切な難易度で、独学でも進めやすい。数理物理や数理工学の分野に進む人にとっても、基礎をしっかり固められる良い入門書だと思います。専門書としての厳密さを保ちながらも、読者に寄り添った丁寧な説明が印象的でした。研究を進める上で、この本の内容が本当に頼りになっています。
2026年06月01日
SNSで話題になってるのを見かけて、ついつい手に取ってしまいました。正直、投資本ってちょっと難しそうだなって思ってたんですけど、この本は全然違いました。 89歳の現役トレーダー・シゲルさんとの対話形式で進んでいくから、教科書的な堅さがなくて読みやすい。関西弁のキャラクターが活き活きしてて、まるで祖父と会話してるような温かさがあります。投資の知識がゼロの私でも、「株って怖い」という先入観がスルスルと解けていくのを感じました。 面白いのは、単なるお金の儲け方だけじゃなく、人生哲学みたいなことも学べるところ。「人と同じ考えをしないこと」「数字と事実だけを見る」といった考え方は、大学院での研究にも通じるものがあって、妙に腑に落ちました。 いま人生の選択肢が多い時代だからこそ、このおじいちゃんのブレない姿勢って本当に参考になります。投資に興味がなくても、人生観を揺さぶられる一冊だと思いますよ。
2026年06月01日
「国盗り物語」の完結編、やっと読み終わりました。司馬遼太郎の歴史小説の中でも特に好きなシリーズなんですが、最後の巻がこんなに引き込まれるとは。 織田信長と明智光秀という二人の巨人の葛藤を、ここまで丁寧に、そして人間らしく描いた作品は本当に珍しいと思います。歴史の教科書では「本能寺の変」は突然の反乱として描かれるけど、この作品では二人の相反する気質がどのように衝突していったのかが、じわじわと伝わってくる。光秀の内向的で繊細な感受性と、信長の外向的な激情——その違いがここまで深刻な溝を生むんだなって。 物語として完成度が高いのはもちろんですが、なんといっても人物描写が秀逸。歴史小説ってときに説教的になりがちなのに、この本は登場人物の心理を現代的な感覚で丁寧に追っていて、大学院の研究で疲れた頭もスッと物語の中に引き込まれました。あっという間に読めちゃいます。歴史が好きな人はもちろん、人間ドラマとしても最高の一冊。シリーズを通して読む価値は絶対あります。
2026年06月01日
地球滅亡まであと3年という世界設定を聞いた時点で、どうしても読みたくなりました。そういう極限の状況で人間ってどう行動するんだろう、という素朴な疑問への答えがここにあるんじゃないかって。 読んでみると、思ったより絶望的ではなくて、むしろ人間らしさに満ちた話ばかり。仙台の団地に住む様々な人たちが、滅亡という共通の危機に直面しながらも、それぞれ別の人生を生きている。家族との関係、隣人との距離感、仕事や恋愛に対する向き合い方—日常のもめごとや喜びが、却ってこんな時だからこそ輝いて見える不思議さ。 各編が連作になっているので、違う視点から同じ世界が映っていくのが面白かったです。大学院の論文に疲れた頭で読むのにちょうどいい、程よい重さの短編集。重いテーマなのに、ページをめくる手が止まりませんでした。「限りある生」って、実は今この瞬間のことなんじゃないか—そんなことを考えさせられる一冊です。
2026年06月01日
永井龍男がその生涯を閉じる数日前に妻に語りかけた言葉から始まるこのエッセイ集。最初の一文に引き込まれてしまいました。 神田で生まれ、やがて鎌倉へ――東京の街並みと自分の人生を丁寧に重ねながら綴られた回想録です。関東大震災、処女作の執筆、文芸春秋社での日々。いずれも歴史的な出来事でありながら、著者のまなざしを通すと、ごく身近な風景や人間関係の機微へと変わっていく。その柔らかさに何度も立ち止まってしまいました。 大学院の研究で文献を漁ることが多い身なので、こうした自伝的エッセイは少し敬遠していた部分もあったのですが、決してそんなことはない。むしろ時代との向き合い方、細部への愛おしさの注ぎ方が、深く人を動かす力を持っている。死を意識した著者だからこそ、今ここにあるものへの視線がこんなに澄んでいるんだと感じます。 短編「冬の梢」も含まれていますが、全体を通して一貫した静かな美しさがあります。忙しない日常からふと距離を置きたいときに開きたい、そんな一冊です。
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