健太の本棚
感想

映画化作品だからって気軽に手を取ったけど、これは本当に面白かった。妻が娘の体に宿るという、一見SFのようなコンセプトながら、そこから生まれるのは家族の愛情と喪失についての深い思考。妻を失った絶望と、娘の中に妻がいるという奇跡的な状況のはざまで揺れ動く父親の心理描写が秀逸だ。 赤川次郎の筆力が本当に光っていて、どんどん引き込まれていく。表面的には不可思議な設定なのに、登場人物たちの感情や迷いが丁寧に描かれているから、現実感を持って読み進められる。謎解きの要素もありながら、最後に待っているのはミステリーとしての爽快感というより、人間関係の複雑さと向き合う静かな感動。 フリーランスだから日々の仕事の合間に少しずつ読んでいたんだけど、気がつくと徹夜してしまうほどの面白さ。家族と秘密、生と死について考えさせられるいい作品。文庫版も読みやすくて、長編ながら一気読みできる良さがあります。

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