ボトルネック

ボトルネック

米澤 穂信

出版社:新潮社 出版年月日:2009/10/01

新潮社 | 2009/10/01

4.00
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

職業柄、論理的に構成された物語を求めることが多いのだが、本書はその予想を良い意味で裏切られた。冒頭の不可解な出来事から引き込まれ、ページをめくる手が止まらなくなる。 主人公が直面する現実と非現実の境界線、そして自分というものの定義について深く考えさせられる。エンジニアとして「問題解決」に慣れた思考回路でも、この物語の本質は論理だけでは解き明かせない。そこにこそ小説の魅力がある。 自分に臆病で世界と折り合えない「若さ」の描写が実に丁寧だ。時間を経た今だからこそ、あの迷い多き時期の心理状態をこうして読み返すことで、改めて気づかされることがある。ミステリとしての骨格がしっかりしていながらも、単なるトリックの謎解きに終わらない思想的な深さが備わっている点が秀逸だ。 読了後、もう一度序盤から読み返したくなった。金字塔と呼ばれる所以がよく分かる、手放せない一冊である。

感想

金沢を舞台にした、なんとも不思議で深い物語です。主人公が東尋坊から落ちた後、別の世界で目覚めるという設定だけで、すでに心を掴まれてしまいました。 著者は青春の不安定さ、世界との折り合いのつけにくさを見事に表現されています。若い頃の迷いや臆病さが、懐かしくもあり、切実に感じられました。私たちの世代とは違う「若さ」の悩みながらも、人間の本質的な葛藤は変わらないのだなと思わされます。 文章は丁寧で読みやすく、ミステリとしての構成もしっかりしています。謎が徐々に明かされていく過程で、物語の世界にすっと引き込まれます。ただ、設定の不可解さについていくために、何度か読み返す箇所がありました。それも魅力の一つかもしれませんが、少し難しく感じる方もいるかもしれません。 青春小説としても、ミステリとしても秀作です。人生経験を積んだ私たちだからこそ、この作品に込められた深い思考に気づけるのではないでしょうか。ぜひお勧めしたい一冊です。

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