みっちゃんの本棚
小説 ノイズ【noise】

小説 ノイズ【noise】

黒木 あるじ 集英社 2021年12月17日

感想

映画化作品ということで、話題性に引かれて手に取った一冊です。孤島という限定的な舞台設定と、極限状況での人間心理を描くというコンセプトは興味深いのですが、読み進めてみると工夫と計算高さが目立ちすぎるように感じました。 エンタメ性に全振りした構成で、サスペンスとしての緊張感は保たれています。ただ、登場人物たちの心理描写や葛藤が、どこか表面的というか、物語を動かすための装置として機能している印象が否めません。人文書を読み慣れた身としては、もう一段階深い洞察や人間理解があればと期待していました。 映画原作という性質上、小説としての表現の奥行きに欠ける部分があるのは仕方ないのでしょう。むしろ映像化を前提とした脚本的な工夫が優先されているのが明白です。スピード感のある娯楽作品として読むなら及第点ですが、じっくり人間ドラマを味わいたい読者には物足りなく感じるかもしれません。平均的なエンタメサスペンスといったところでしょうか。

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