みっちゃんの本棚
日本人が立ち返る場所

日本人が立ち返る場所

養老 孟司 / 内田 樹 KADOKAWA 2026年1月21日

感想

令和という時代の不安定さの中で、何を拠り所にして生きていくべきか——この問いに正面から向き合った対談集です。 二人の思想家による19年ぶりの再会という形式が秀逸で、現代社会の諸課題——陰謀論の蔓延、子どもたちの自殺、言語の空洞化、死生観の変容——を単なる評論ではなく、深い思考と対話を通じて掘り下げています。特に「感情教育」の必要性に関する議論は、情動に支配される現代だからこそ説得力があります。 加えて、自然との関係性や身体性の回復といったテーマは、物質的豊かさの中で心が満たされない多くの大人たちへの処方箋となるでしょう。知識の断片ではなく、思想的な地続きで繋がった論考だからこそ、読み進めるにつれて思考が深まっていく快感があります。 39歳という年代で、職場の葛藤や社会への違和感を感じながら読むと、自分たちが何を見失ってきたのか、そしてこれからどこへ立ち返るべきなのかが次第に浮き彫りになってくる。実用的な自己啓発本ではないからこそ、長く参照できる一冊です。

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