みっちゃんの本棚
後衛の位置から

後衛の位置から

丸山 眞男 未来社 1982年1月1日

感想

丸山真男の『後衛の位置から』を読み終えて、改めてその思考の深さと緻密さに圧倒された。本書は単なる論文集ではなく、戦後日本の思想的課題に正面から向き合った知識人の格闘の記録である。 特に「憲法第九条をめぐる若干の考察」は秀逸だ。改憲問題と防衛問題の歴史的連関を丹念に追いながら、日本国憲法における平和主義の思想的意味を問い直す。丸山が指摘する「国民的個性ないし民俗的伝統の問題」という観点は、今日の政治的議論においても依然として有効である。 英訳版の著者序文から付録の海外書評まで、西欧との知的対話の中で日本の思想がどのように受容・評価されたのかが見えてくるのも興味深い。この「後衛の位置」という表現が示す謙虚さと同時に、その実は最前線で戦う思想家の姿勢が貫かれている。 会社員として日々の実務に追われながらも、こうした根源的な問いに向き合う時間の大切さを改めて感じさせてくれた。文体も古いとは言えど、驚くほど読みやすく、思考を刺激される一冊である。