みっちゃんの本棚
Travels with Charley: In Search of America

Travels with Charley: In Search of America

John Steinbeck PENGUIN GROUP 1980年1月1日

感想

1960年代のアメリカをチャーリーという犬とともに旅するスタインベックの紀行文。正直なところ、最初は「有名な古典だし読んでおこう」という義務感で手に取ったのですが、これが想像以上に面白かった。 著者が全米各地で出会う人々との対話を通じて、当時のアメリカ社会の光と影を丁寧に記録しています。地域ごとの言葉遣いの消滅を嘆き、モンタナの風景に心奪われ、ニューオーリンズの人種差別に憤る——その感情の揺らぎが等身大で伝わってきます。 現代に生きる私たちが読んでも色褪せない普遍性がある。時代は異なっても、社会の分断、文化の喪失、根強い差別といった問題は今日の課題でもある。旅という装置を通して、社会観察家としてのスタインベックの視点の鋭さが際立ちます。 犬との旅という親密な設定も秀逸で、移ろいゆくアメリカの風景の中に人間臭さを感じさせてくれます。古典としての重厚さと、読みやすさのバランスが取れた良書です。