阿部の本棚
ぼくは盲導犬チャンピイ

ぼくは盲導犬チャンピイ

河相洌 偕成社 1981年8月1日

感想

盲導犬という題材に興味を持って手に取った一冊です。実際のところ、児童文学としての完成度は高いのですが、大人が読む視点からするとやや物足りない印象が残りました。 盲導犬チャンピイの視点から描かれるストーリーは温かく、動物と人間の絆についてシンプルながら誠実に向き合っています。訓練の過程や日常の描写も丁寧で、盲導犬の役割を理解する上では良い入門書になるでしょう。 ただ、新書というフォーマットを考えると、もう少し深い考察や社会的背景についての掘り下げがあってもよかったのではないかと感じます。障害と社会、あるいは人間と動物の関係性といったテーマをより多層的に扱えば、大人の読者にもより響く作品になったはずです。 読みやすさと感動という点では及第点ですが、読書家としては「もっと知りたい」という欲求が残る形になってしまいました。若い世代に動物の価値や思いやりについて伝える目的なら充分機能していると思いますが、大人向けの深みを求めるなら他の選択肢も検討する価値があるかもしれません。

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