阿部の本棚
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

アンディ・ウィアー / 小野田 和子 早川書房 2026年1月22日

感想

話題作らしいので手に取ってみましたが、正直なところ期待と現実のギャップを感じました。宇宙冒険ものとしての基本的な面白さは備えていて、地球滅亡の危機という設定も惹かれるものがあります。ただ、読み進めていると「よくある英米SFの焼き直し」という印象が拭えません。 主人公が極限の状況で奮闘する姿は確かに迫力がありますし、物語のテンポも悪くない。ですが、登場人物の深掘りが浅く、心理描写にリアリティを感じられなかったのが残念です。また、ページ数の割に新鮮な発見や問題提起があまりなく、エンターテインメントに徹した作りだと感じます。 新社会人として読むなら、仕事の疲労を吹き飛ばす軽い読み物として機能するはず。ただし、思想性や深い考察を求める読者にはやや物足りないでしょう。上巻を読んで下巻へ進むかは悩み中です。悪くはないけど、これといって心を掴まれたわけではない——そんな一冊でした。