阿部の本棚
住まいのアイデアスケッチ集

住まいのアイデアスケッチ集

丸谷博男 彰国社 1984年8月1日

感想

社会人になって、初めて自分の生活空間を意識するようになった。会社の先輩が薦めてくれたこの本を手に取ったのは、狭いアパートをもう少し快適にしたいという素朴な動機からだった。 開いてみると、実用性と美しさが両立した住空間のアイデアが次々と展開されている。単なるハウツー本ではなく、生活を豊かにするための思考プロセスが丁寧にスケッチされている点が秀逸だ。著者の観察眼の鋭さが随所に感じられ、「なるほど、こういう視点があるのか」と何度も頷かされた。 特に良かったのは、限られた予算や空間の中での工夫が具体的に示されていることだ。新社会人の身にとって非常に現実的で、参考になる提案ばかり。装飾的な美しさだけでなく、実生活に根ざした実用性も兼ね備えている。 ただ、イラストや写真がもう少し充実していれば、さらに理解しやすくなったかもしれない。それでもこの一冊で、住まいに対する向き合い方が変わった。これからの生活を設計する上で、確かな指針となる本だ。