しんの本棚
コーヒーが冷めないうちに

コーヒーが冷めないうちに

川口俊和 サンマーク出版 2015年12月7日

感想

評判が高い本だったので期待して読みましたが、正直なところ個人的には物足りなさが残りました。 タイムトラベルというファンタスティックな設定を持ちながら、それを活用した物語展開が浅いように感じます。四人の女性それぞれの後悔と向き合う場面は感情的には響く部分もあるのですが、テーマの掘り下げが表面的で、読後に深く考えさせられるような問い返しがない。人文書を好む自分としては、より哲学的な問題提起や人間の本質に関わる葛藤を期待していました。 また、登場人物たちの心情描写は丁寧なのですが、その心理変化のプロセスに説得力を感じられませんでした。過去へ戻った時に何が起こるのかという基本的な設定も、読み進むにつれて曖昧に感じられてきます。 万人受けする優しい物語として読めば良かったのかもしれませんが、売行きの高さとメディア展開の多さに比べて、小説としての深みや新しさに乏しいと判断せざるを得ません。確かに涙を誘う場面はありますが、それだけで評価するには、創作としての完成度に疑問が残ります。

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