本大好きおじさんの本棚
最後の皇帝と謎解きを

最後の皇帝と謎解きを

犬丸 幸平 宝島社 2026年1月9日

感想

このミステリー大賞受賞作、手に取ってみて本当に良かった。普段は気軽に読める小説が好きな私ですが、この作品は歴史ミステリーながら、じっくり引き込まれる不思議な魅力がありました。 紫禁城という舞台設定がまず素敵で、1920年の中国という時代背景の中で、溥儀という実在の人物と日本人絵師の関係性が丁寧に描かれています。密室殺人事件という謎解きの要素もありますが、むしろ異なる立場の二人が友情を育んでいく過程に心が温かくなりました。医療現場で様々な背景を持つ人々と接することが多いので、身分や国を超えた人間関係の大切さが深く響いたんでしょう。 歴史的な重みがありながらも、読者目線の主人公のおかげで物語の世界に自然と入り込めます。難しくなく、でも知的興奮も味わえる。これこそ大人が気軽に読書を楽しむ喜びだと感じました。選考委員の絶賛も納得です。