はるとの本棚
新装版 限りなく透明に近いブルー

新装版 限りなく透明に近いブルー

村上 龍 講談社 2009年4月1日

感想

村上龍のデビュー作ということで、文学史的な重要性を踏まえて手に取りました。芥川賞受賞作というプレッシャーもありながら読み進めたのですが、率直に言うと期待と現実のギャップを感じてしまいました。 1976年の作品とはいえ、現代の視点から見ると時代に限定された描写や表現が多く、その「衝撃性」を今更実感することの難しさがあります。福生の基地周辺という舞台設定や、退廃的な若者たちの日常は確かに当時革新的だったのだろうと理解できます。しかし、文体としては読みやすくても、内容的な深掘りや心理描写の奥行きには物足りなさを覚えました。 エンジニアの視点で言えば、この作品は「バージョン1.0」としての価値は認めざるを得ません。その後の村上龍の執筆活動の基礎となった作品ですし、文学界への影響力も無視できない。ただ、現在の我々が読むべき小説として判断すると、より磨かれた後続作の方が優れていると感じます。新装版は装幀が綺麗で読みやすいのは好印象ですが、内容面では「歴史的意義で評価する小説」という印象は拭えません。

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