はるとの本棚
感想

『高校事変』の前日譚ということで、どの程度のクオリティか正直半信半疑で手に取った。だが読み始めたら一気に引き込まれた。 主人公の結衣が置かれた絶望的な状況——父親の死刑、受け入れ拒否される高校選び——という重い設定から始まるのに、物語は息もつかせぬ緊張感で進んでいく。エンジニアとして日々論理的思考を求められる身からすると、複雑に絡み合う事件の構図、登場人物たちの動機の層の厚さに感心させられた。 何より驚いたのは、主人公が単なる被害者ではなく、自らの境遇に抗う尖った意志を持っているという点だ。その一途さと危うさのバランスが秀逸である。十五歳という年齢の繊細さと激しさが見事に表現されている。 前作を読んでいない状態での評価だが、本作は完全に単独で成立している。むしろこれを入口に『高校事変』へ進むのが正解かもしれない。青春冒険小説というジャンルに対する認識が変わった一冊。慎重派の私が強気で推薦できる傑作だ。

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