てつの本棚
羽仁もと子著作集(9)

羽仁もと子著作集(9)

羽仁もと子 婦人之友社 1983年10月1日

感想

羽仁もと子の著作集、9巻目を手にしたのは、生活エッセイの良き読み手でありたいと思っていたからです。大正から昭和の知識人女性の思想や生活訓、家庭と社会への向き合い方について、興味がありました。 実際に読んでみると、その実直さと真摯な姿勢は確かに感じられます。特に家庭生活や女性の役割について深く考察した部分は、時代を超えて考えさせられるところがありました。ただ、正直なところ、現代の視点で読むと若干の距離感を覚えてしまいます。教科書的というか、説教臭さもなくはない。 9巻という限定的な選集ということもあるかもしれませんが、著者の思想の全体像をつかむにはやや散漫な印象です。生活哲学としては啓発的な部分もありますが、エッセイとしての読みやすさや引き込まれる面白さという点では、期待値に少し届かなかった感があります。 学校の授業でも教材として使えそうな内容ではありますが、気軽に読む本としてはやや重めかもしれません。古典として尊重しつつも、個人的にはどちらでもいいかなというのが率直な感想です。