てつの本棚
感想

本屋大賞受賞作ということで、つい手に取ってしまいました。正直なところ、こういった感動系の作品には少し身構えてしまう方なんですが、この『カフネ』は違いました。 弟の急死という重たいテーマから始まるのに、全体を通じて感じられるのは不思議な温かさです。家事代行サービスという日常的な活動を通じて、主人公の薫子と元恋人のせつなが少しずつ繋がっていく過程が、本当に丁寧に描かれている。料理を作って食べさせることが「好きだよ」の伝え方だなんて、教員として子どもたちに何かを教える仕事をしている身としては、ぐっとくる表現です。 何より驚いたのは、重いテーマを扱いながらも読後感が爽やかなこと。悲しみや孤独に向き合いながらも、それでも前に進もうとする人間の強さが感じられます。気負わず、でも心に残る—そういう小説を探していた気がします。累計63万部というのも納得です。

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