熟柿
KADOKAWA | 2025/03/27
みんなの感想
本屋大賞ノミネートという触れ込みで手に取ったのですが、期待以上でした。直木賞受賞作『月の満ち欠け』の著者ということで、すでに傑作の予感はありましたが、この『熟柿』はそれを大きく上回る完成度です。 主人公かおりの人生に寄り添いながら読んでいると、気づけば徹夜してしまいます。罪と向き合い、親子の絆に揺れ動く彼女の葛藤は、教育現場で多くの家庭の事情に触れてきた身として、どこか痛切に感じられました。一般的な「悪人」の物語ではなく、人間らしさの複雑さを丁寧に描き出しているんです。 ただ淡々と西へ西へと流れるだけではなく、物語の後半で明かされるある秘密が、これまでの読みを大きく揺さぶります。再度ページを遡りたくなるほどの構成の巧さ。ビジネス書なども読む身としては、こうした人間描写の深さ、構成の妙には改めて小説の良さを思い出させてくれます。気軽に読める作品ではありませんが、読み応えは本当に素晴らしい。本屋大賞の選考が楽しみです。
本屋大賞のノミネート作ということで手に取った一冊ですが、予想以上に引き込まれました。 主人公の女性が背負う罪と、それでも子どもに会いたいという切実な想いが、物語全体を貫いています。管理職という立場上、仕事でも部下の人生に関わることが多いのですが、この作品を読んでいると人間の複雑さ、一度の過ちがもたらす深刻さが痛いほど伝わってきます。 何より素晴らしいのは、終盤で明かされる秘密。それまでの物語の見方が一変する瞬間があり、そこからもう一度読み返したくなるほどの構成力です。実際、二度読み返してしまいました。重いテーマながらも、著者の筆力のおかげで決して重苦しくならず、人生について考えさせられる読み応えがあります。 忙しい日常の中でも、じっくり没頭できる良い小説でした。本屋大賞のノミネート作も納得です。
本屋大賞ノミネート作ということで、きちんとしたレビューを読んでから手にすることにしました。著者の過去作も読んでいますので、どのような物語が展開するのか期待して開いたのです。 母親と子どもの絆についての深い物語かと思いきや、人生の重さ、選択の重みがずっしりと心に響く作品でした。主人公の行動の一つ一つは非難されるべきかもしれませんが、読み進むうちに、人間の弱さと切実な願いが複雑に絡み合っていることが伝わってきます。 慎重に進めながら読み終わりましたが、後半の明かされる秘密には胸をつかまれる思いがします。人生とは何か、罪とは何かを問い直させる力強さがあります。何度も立ち止まって考えながら読むことになりました。 著者の筆力の確かさが、こうした重いテーマをも読み手に届かせるのだと感じます。人生経験を重ねた者にこそ、丁寧に読んでいただきたい一冊です。