てつの本棚
夜明けのはざま

夜明けのはざま

町田 そのこ ポプラ社 2026年9月2日

感想

本屋大賞受賞作ということで、つい手に取ってしまいました。葬儀社を舞台にした作品というと、どうしても暗いイメージを持ってしまうものですが、この『夜明けのはざま』は全く違う。読み終わった後、何とも言えない温かさが胸に残りました。 寂れた町の葬儀社に訪れるさまざまな人たちの物語を通じて、人生における「間に合ったこと」と「間に合わなかったこと」について考えさせられます。教員として日々、生徒たちの人生に少なからず関わる身として、この問い自体がとても心に響きました。 著者の筆致は決して説教的ではなく、自然と読み手の心に寄り添ってくるような優しさがあります。登場人物たちの後悔や痛み、それでも前に進もうとする姿勢が、静かだけど確かな感動を呼び起こします。短編集のような構成なので、時間がない時でも気軽に読み進められるのも良い。 「いつか」を待つのではなく「今」を生きること。シンプルだけど大切なメッセージを、これほど自然に、そして力強く伝えられるのは本当に素晴らしい。文庫版も手に取りやすいサイズで、ぜひ多くの人に読んでもらいたい一冊です。

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