『薔薇の名前』の下巻をようやく読み終わりました。正直なところ、上巻を読んでから時間がかかってしまったのですが、この完全版で作者の創作ノートやメモなんかも一緒に読めるということで、改めて挑戦してみた次第です。 中世の修道院を舞台にした事件の謎解きと思っていたら、そんな単純な話ではありませんでした。次々と起きる不可解な死、暗号のような書物、難しい宗教用語や哲学的な考え方が次々と出てくるので、時々読むのを止めて考え込んでしまいました。でも、その複雑さが逆に引き込まれてしまう要因なんです。 一番良かったのは、後半に収録されている作者の覚書やデッサンを見ることで、物語の背景にある構想が少し理解できたこと。こういった資料があると、なぜこんなに凝った作りになっているのか納得できます。 難しい部分も多くて、気軽な読書という訳にはいきませんでしたが、読み終わった今は充足感が残っています。中世の修道院の世界観にどっぷり浸れました。
最近登録された他の本の感想
2026年09月12日
ミステリーは気軽に読むにはちょうどいい、と思って手にした一冊です。このごろ目が疲れやすくなったので、文庫本のサイズが助かります。 最初は小学校の事件という重い題材なので、どうしようかと思ったのですが、思いのほか引き込まれてしまいました。冒頭から仕掛けられた罠というのは本当で、読み進めるうちに「あ、そういうことだったのか」という瞬間が何度もやってきます。その度にニヤッとしてしまいました。 複雑な構成なのに分かりやすく、登場人物たちの告白を通して真実が少しずつ明かされていく。パート帰りの疲れた頭でも、無理なく読み進められたのが良かったです。後半は特に目が離せず、一気読みしてしまいました。 ただ正直なところ、細部まで完全に理解できたかどうか自信がありません。でも、それも含めて楽しめる作品だと思います。このミステリーがすごい大賞というのも納得できる、なかなかの傑作でした。気軽に読みたい方にもおすすめできます。
2026年08月14日
同じシングル女性として、どんなことが書かれているのか気になって手に取ってみました。正直なところ、期待していたほどではなかったというのが素直な感想です。 確かに、著者が指摘する社会保障の狭間や老後への不安といった問題は、他人事ではありません。私たちが直面する課題が実際に存在することは理解できます。ただ、読んでいて感じたのは、問題提起に留まっているということ。深掘りが足りないというか、「こういう大変なことがあるんですよ」という説明に終わってしまっている感じがしました。 また、収録されている当事者の声は参考になる部分もありますが、全体的に暗い話題ばかり。もう少し前向きな視点や、実際に工夫している人たちの工夫の話など、バランスの取れた内容だったら良かったなと思います。 新書らしくコンパクトにまとめられているのは良いのですが、問題が複雑だからこそ、もっと掘り下げた一冊があれば、より心に響くんじゃないでしょうか。
2026年08月14日
娘の書棚にあったこの本、タイトルが変わっていたので何気なく手に取ったんです。読んでびっくり。こんなに心がときめく言葉がぎゅっと詰まった作品があるんだなって。 嶽本野ばらさんのデビュー作だそうですが、もう本当に素敵な表現ばかり。乙女心だとか、自分らしさだとか、そういうテーマなんでしょうけれど、66歳のおばあちゃんが読んでも、何だか自分の若い頃のきらめきを思い出させてくれるんです。若い時代にこんな本があったら、もっと違う人生だったかなあなんて考えちゃいました。 文章が本当に美しくて、ページをめくるのが楽しい。難しい言葉もありますが、それでも読み進めたくなる引力があります。ちょっと疲れた日に手に取ると、心が洗われるような気分になりますね。 人生経験を重ねてからこそ、この作品の良さがわかるのかもしれません。若い人たちにはもちろん、人生の折り返し地点を過ぎた世代にもお勧めしたい、素敵な一冊です。
2026年08月03日
図書館で話題になっていたので、つい手に取ってしまいました。最初は子ども向けのファンタジーかと思ったのですが、読み進めていくうちに、大人の私たちが抱える「生きづらさ」について、こんなに深く向き合った作品だったんだと気づきました。 鏡の向こうの不思議な城で出会う七人の少女たち。みんな学校という場所で心が折れてしまった子どもたちなのですが、その描写がとても丁寧で、読んでいて胸が痛くなりました。でもね、この本が素晴らしいのは、そこからなのです。絶望的な状況の中で、少女たちがどうやって少しずつ前に進もうとするのか。その過程が本当に温かくて優しい。 最後の仕掛けには驚きました。「なるほど、そういうことだったのか!」と思わず声が出ました。決して説教的にならず、読者の心にそっと寄り添うようなストーリーテリングが秀逸です。年代を問わず、困っている誰かの力になれる本だと思います。パートの休憩時間に一気読みしてしまいました。
2026年07月29日
星新一という作家のことをちゃんと知ったのは、実は最近のことなんです。このエッセイ集を手に取った時、こんなに面白い人だったのかと、ちょっと後悔さえしました。 幼少期から晩年までの91編が時系列に並んでいるから、星新一という人の人生そのものを辿る気分で読めます。空飛ぶ円盤への熱中ぶりや、江戸川乱歩との親交なんて話は、まるで誰かから直接聞いているみたい。どのエッセイも短くて読みやすいのに、ユーモアと才気に満ちていて、クスッと笑わされたり、「あ、なるほど」と頷かされたり。 パートの帰りの時間や、休日のちょっとした合間に気軽に開けるのも良いですね。難しい理屈はなくて、等身大の星新一がしゃべりかけてくるような感じです。こんなに素敵な人の考え方や人生を垣間見られる本が、この値段で手に入るなんて。生誕100年記念というのも粋だし、盟友・真鍋博のカバーイラストも素敵です。読んでいて本当に幸せになれます。
2026年07月25日
図書館で見かけた愛蔵版、あの表紙の美しさに思わず手に取ってしまいました。金箔が光る豪華な装丁に、もう開く前からときめいてしまいます。 物語は京都を舞台にした、なんともユニークなラブストーリー。主人公の「黒髪の乙女」を求める青年の奮闘ぶりがね、本当に楽しい。森見登美彦さんの描く京都の街は、どこか不思議で、現実とファンタジーが混在したような世界観。読んでいて、思わず笑ってしまう場面がいくつもあります。 何より素敵なのは、この本の持つ温かみ。若い人たちの恋愛模様を追いながらも、人生を肯定する優しさが随所に感じられるんです。年を重ねた私だからこそ、そういう言葉の端々に心がほっこりするんだと思います。 愛蔵版は函入りで、本当に大切に手元に置きたくなる仕上がり。記念に手に入れるなら、こういう特別な版で読むのが正解だと感じました。何度でも読み返したくなる一冊です。
2026年07月20日
昭和という時代を四人の主人公たちの人生を通して描くこの作品、第三部まで読み続けてきた甲斐がありました。戦後日本の激動の中を、司法、実業、報道、娯楽という異なる道を歩んだ彼らが、どのようにして時代と向き合っていくのか。その様子が本当に生き生きと伝わってくるんです。 特に、正義感に燃えて汚職や公害に立ち向かう検事の姿勢には、つい応援したくなってしまいました。パート仕事の合間に読んでいると、彼らの真摯な生き方が心に沁みてきます。 この最終部では各人物の人生が大きく動く場面が続き、ついつい夜更かししてしまいました。昭和という時代が本当に何だったのか、その答えがこの巻でようやく見えてくるような感じです。長編を読み続ける楽しさをあらためて感じさせてくれる作品。ぜひ最初から読んでみることをお勧めします。
2026年07月19日
孫が受験勉強で悩んでいる話を聞いて、この本を手に取ってみました。ジュニア版ということで、大人が読んでも十分に考えさせられる内容ですね。 「手紙屋」からの十通の手紙を通じて、勉強の本当の意味が丁寧に解き明かされていきます。受験生向けのハウツー本かと思ったら、そうではなく、人生全体を見つめ直す力強いメッセージがこもっていて驚きました。 特に印象深かったのは、努力の先にあるものについての描き方。夢を実現するための方法論だけでなく、どう生きるかというもっと根本的な問いかけが随所に出てきます。こういう話こそ、若いときに読んでおくといいなあと感じます。 挿絵も世界観を盛り立てていますし、読みやすさも工夫されています。私たちの年代が読んでも、人生経験を重ねたからこそ響く部分がきっとあると思いますよ。孫への贈り物にも、そして自分自身への忘れていた大切なことを思い出させてくれる一冊として、気軽におすすめできます。
2026年07月18日
定年を迎えた男性の戸惑いと葛藤を描いた作品ですね。仕事がすべてだった人が、急に時間を持て余してしまう、その不安感がよく伝わってきました。年を重ねた私たちにとって、他人事ではないテーマです。 主人公の田代さんの苦悩は現実的で、共感できる部分がたくさんあります。特に妻との関係性が微妙なところが、この世代の夫婦の実態をうまく表現しているなと感じました。ただ、話の進み方がやや単調で、もどかしい気持ちで読み進めることになります。 新しい生き甲斐を見つけるまでの過程は、私たちの世代にとって大切なテーマなのですが、描写が物足りないように感じてしまいました。もう少し明るさや希望が見えていると、読んでいて気が楽になったかもしれません。 決して悪い作品ではないのですが、可もなく不可もない、という印象で残りました。ベストセラーということなので、多くの人の心に何かしら響く部分があるのでしょう。読んでよかったとは思いますが、特に心に残る表現や場面があったかと言うと…ちょっと物足りません。
2026年07月13日
神様たちの日常なんて、こんなに可愛らしくて楽しいものなんですね。シリーズも第二部に入ったということで、キャラクターたちがますます魅力的になっているのが感じられました。 秋の庭で繰り広げられる、神様たちのスローライフの物語。相変わらずほのぼのとしていて、パート帰りの疲れた体をほぐしてくれるような一冊です。秋の味覚スイーツの話では、ついつい自分も作ってみたくなってしまいました。こういう「人間も神様も同じように困ったり喜んだりしているんだな」という感覚が、この作品の良さだと思います。 カエンが独り立ちのために頑張る話も応援したくなるし、猫の神様に導かれてのお仕事体験も不思議で面白い。新しい展開がどんどん広がっていく感じが気に入りました。登場人物たちへの親しみがどんどん増していくのが、長く続いているシリーズの醍醐味ですね。ゆったりとしたペースで、気軽に読み進められる素敵な作品です。
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