静かな読書の本棚
わたしは今すぐおばさんになりたい

わたしは今すぐおばさんになりたい

南 綾子 双葉社 2025年12月10日

感想

最近、自営業をしていて思うのは、社会の約束事って本当に窮屈だということだ。この本を読んでいて、そんなモヤモヤした気持ちがストンと腑に落ちた。 主人公の響が「おばさん」に惹かれていく様子が、実に自然で良い。結婚だとか、やりがいだとか、そういった一般的な人生設計に縛られている若い世代が、型破りな生き方をしている中年女性と出会うことで、ゆっくりと解放されていく過程が丁寧に描かれている。 何より好ましいのは、説教的でないところだ。「こう生きるべき」という押しつけがなく、むしろ「こんな生き方もあるんだ」という気付きを優しく与えてくれる。響とおばさんの関係が深まるにつれて、読んでいる自分自身も肩の力が抜けていくような感覚を覚えた。 自営業で日々プレッシャーを感じている僕にとって、この本は思いがけない処方箋になった。人生に「正解」なんてないんだ、と改めて教えてくれた気がする。等身大の女性たちの物語として、多くの人に読んでもらいたい一冊だ。