和子の本棚
感想

江戸時代の裁判劇を描いた意欲作、『虚空蔵の峯』を読み終わりました。SNSで話題になっていたので、どんな作品なのか気になって手に取ってみたんです。 宝暦五年という時代設定で、地方からやってきた六人が直訴に及ぶという、実在したであろう事件を基にした物語。最初は歴史小説としての重厚さがあるのかと構えていましたが、案外テンポよく読めました。登場人物たちの必死の思いと、当時の幕府の対応の緊迫感がじわじわと伝わってきます。 特に興味深かったのは、この事件が当時の人々にどのような影響を与えたのか、という点です。現代にも通じる「正義とは何か」という問い掛けが随所に散りばめられていて、単なる歴史冒険談ではなく、深い思索を促す作品になっています。 ただ、後半やや叙述が複雑になる部分があり、登場人物が多いために誰が誰だかわからなくなってしまう場面もありました。そこは少し残念でしたが、総じて現代にこそ読まれるべき良作だと思います。話題の本として十分に価値のある一冊です。

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