和子の本棚
感想

瀬尾まいこの『ありか』を読み終わって、何日もこの物語を抱えたまま過ごしています。話題になっていたので手に取ったのですが、期待以上の深さでした。 シングルマザーの美空と、彼女を支える義弟の颯斗。家族というものの複雑さと温かさが、本当に丁寧に描かれています。特に、子どもを育てることで初めて親の恩を感じると思っていたのに、実際は全くわからなくなるという美空の葛藤には、ハッとさせられました。子どもがいる身として、あまりに共感できてしまいます。 著者が「これまでの人生を全部込めた」と語っているというのも、読んでいてうなずけます。家族の絆、親子の関係、そして同性愛というテーマまで、複数の視点から「愛」と「幸せ」を問い直しているんです。決して重たくならず、日常の何気ない場面の中に、人生の本質が溶け込んでいる。 同年代だからこそ感じる部分もあり、また違う世代の悩みにも寄り添いたくなる。こういう作品に出会えるから、読書は本当にいいなと思います。多くの人に読んでもらいたい一冊です。

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