和子の本棚
生のみ生のままで 上

生のみ生のままで 上

綿矢 りさ 集英社 2019年6月26日

感想

話題の綿矢りさの新作だと聞いて、すぐに手に取りました。彼女が女性同士の恋愛を描いた作品を発表するというのが、文学界でも大きな話題になっていたんですね。 読み始めてすぐに引き込まれてしまいました。25歳の女性・逢衣が、初めは距離のあった芸能人の女性・彩夏との関係が少しずつ変わっていく過程が、本当に細やかに描かれているんです。最初の違和感や戸惑いから、惹かれていく心情の移ろいが、読んでいて自分の胸にも波が立つような感覚を覚えました。 綿矢りさの文体は相変わらず洗練されていて、二人の関係を描くシーンの感覚表現がなんともいえず美しい。年を重ねた女性である私も、登場人物たちの切実な感情に胸が揺さぶられました。人間関係の複雑さ、恋愛の予測不可能性、そして自分自身をも揺るがすような出会いの力強さ。すべてが凝縮されています。 上巻だけで既に息つく暇もないほどで、下巻が早く読みたくて仕方ありません。同年代の女性にこそ、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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