直人の本棚
また君と出会う未来のために

また君と出会う未来のために

阿部 暁子 / syo5 集英社 2018年10月19日

感想

前作『どこよりも遠い場所にいる君へ』が話題になっていたので、続編も手に取ってみた。正解だった。 時間を超えた再会を軸にした物語という、一見すると荒唐無稽なプロットながら、実に丁寧に人間関係を描き出している。主人公・支倉爽太が抱える秘密の重みと、それでも日常を生きようとする姿勢が実に切実に伝わってくるんだ。 音楽サークルの人間関係から始まる新たな繋がりが、彼の閉ざされた世界に光をもたらす様子が印象的だ。八宮和希というキャラクターが登場することで、物語が新しい地平へと開かれていく。共通の秘密を持つ者同士だからこそ成立する信頼関係、それが支倉の心を少しずつ解きほぐしていく過程が見事である。 SFファンタジーの要素を備えながらも、結局は人と人との繋がり、再会への想いといった普遍的なテーマを描いている。58年生きてきて分かることだが、こういう「心が通い合う物語」は何度読んでも色褪せない。大人こそ手に取るべき一冊だと感じた。

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