石井の本棚
感想

懐かしさと新しさが同居した、不思議な読書体験だった。児童文学の古典として名高い『秘密の花園』だが、34年間生きてきた大人の視点で読むと、これがまた実に興味深い。 メアリという孤児の少女が、荒れ果てた花園をよみがえらせるというシンプルな設定なのに、そこに込められた人間の成長と変化の物語の深さに改めて気づかされた。特に印象的なのは、つむじまがりで利己的だったメアリが、自然との関わりの中で徐々に変わっていく過程。エンジニアとして問題解決のプロセスに慣れた身からすると、その心理的な変化が非常にロジカルで納得のいくものに感じられた。 ヨークシャーのムアという舞台設定も秀逸。自然描写の豊かさが単なる背景ではなく、物語の中核をなしていることが伝わってくる。上巻を読み終えて、すぐに下巻が欲しくなったほど。児童向けと侮るなかれ、大人が読む価値は十分にある。むしろ人生経験を積んだからこそ、その奥深さがより響く作品だと思う。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ