石井の本棚
篠沢フランス文学講義(2)

篠沢フランス文学講義(2)

篠沢秀夫 大修館書店 1980年5月1日

感想

仕事の合間に少しずつ読み進めていたこの講義集が、これほど充実した内容だとは予想外でした。篠沢秀夫の講義を通じて、フランス文学の深層に触れることができます。 エンジニアとして論理的思考に慣れた身ですが、むしろそれだからこそ、テクストを緻密に分析する篠沢の手法に惹かれました。各作品の背景にある歴史的・社会的文脈から、作家の思想まで、層状に理解が深まっていく感覚は、複雑なシステムを解きほぐしていく喜びに似ています。 第2巻では、より高度な思想性を持つ作品群が扱われているようで、最初の巻よりも読み応えがあります。フランス文学への知識がなくても、丁寧な解説のおかげで最後まで引き込まれました。特に作品選定のセンスが秀逸で、文学全体の輪郭が見えてくるようです。 こういった骨太で知的刺激に満ちた著作に出会えるのが、読書の醍醐味だと改めて感じさせてくれた一冊。フランス文学への入門書としても、すでに知識を持つ人の再読書にも適した構成だと思います。