三浦の本棚
かがみの孤城

かがみの孤城

辻村 深月 ポプラ社 2017年5月9日

感想

話題作だったので、かなり慎重に構えて読み始めたのだが、予想を大きく上回る傑作だった。学校という限定的な空間で孤立した少年少女たちが、鏡の向こう側の城で出会うというファンタジー的な設定だけでなく、その背後に潜む深いメッセージが素晴らしい。 読み進むにつれて、自分自身が学生時代に感じた「生きづらさ」が静かに呼び起こされた。現在35歳、会社勤めをしていても、人間関係の複雑さやプレッシャーから完全に解放されることはない。この作品は、そうした誰もが持つ心のどこかにある傷に、丁寧に寄り添おうとしている。7人の少年少女がそれぞれ抱える事情の描き方が秀逸で、どのキャラクターにも共感できる余白がある。 特に後半の展開は予想外で、ミステリー的な興味も満たされた。最後に明かされる真実は感動的であり、同時に問いかけてくる。生きづらさを抱えた人だけでなく、現代に生きるすべての人に届く作品だと感じた。手放しで人に薦められる本は珍しいが、これはその一冊だ。

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