三浦の本棚
カササギ殺人事件<上>

カササギ殺人事件<上>

アンソニー・ホロヴィッツ / 山田蘭 東京創元社 2018年9月28日

感想

人気ミステリ作家による待望の新作ということで、期待を膨らませて手に取りました。1955年の村落を舞台に、家政婦の死から始まる連続的な事件を、病を抱えた名探偵が追う設定は魅力的です。 ただし、実際に読んでみると、その期待と現実のズレに戸惑ってしまいました。クリスティへのオマージュという触れ込みなのですが、むしろその重さが足かせになっている印象を受けました。古典ミステリの様式を踏襲する意図は伝わるのですが、現代の読者にとって必ずしも新鮮さや興奮につながっていない気がします。 登場人物たちの描写は丁寧で、村の雰囲気も上手く表現されています。謎解きの過程も理路整然としており、不合理な点はありません。しかし、上巻を読み終わった時点では、物語がまだ大きな盛り上がりに達していない状態です。下巻へ続く構成上、判断を保留したい部分も多いのですが、現段階では「悪くはないが、積極的に推したいほどでもない」というのが正直な感想です。 ミステリ愛好家には検討の価値があると思いますが、読むなら両巻揃えて腰を据えて臨むことをお勧めします。

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