三浦の本棚
感想

正直なところ、このような書籍を手に取るのは躊躇があった。だが、一気読みしてしまった。 著者の人生経験に基づいた物語だからこそ、ただ波乱万丈というだけでは済まない深みがある。意図しない道へ進まされながらも、腐らず前に進もうとする主人公の姿勢に、読んでいて心が揺さぶられた。エッセイ的な要素もあり、単なるフィクションではなく、著者の実感が滲み出ている点が印象的だ。 90年代の芸能界という時代背景も巧妙に描かれており、懐かしさと同時に、当時の理不尽さがリアルに伝わってくる。登場人物たちの人間関係も複雑で、単純な善悪では測れない厚みがある。 ただ一点、小説としての完成度という観点から見ると、若干の粗さが目立つ部分もあった。著者の初作ということを考えると、これは妥当な範囲だと思う。むしろ、不完全さも含めた人間的な温かみが、この作品の魅力を引き出しているように感じた。 自分のような保守的な読者でも、確実に考えさせられる一冊である。

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