三浦の本棚
感想

芥川賞受賞作ということで、少し腰が引けながらも手にとってみました。身体改造という一見奇異なテーマですが、読み進めていくうちに、それが単なる装飾ではなく、自分の存在を確認するための必死の営みなのだということが伝わってきます。 主人公ルイの心情の揺らぎが丁寧に描写されており、恋人アマとの関係、刺青師シバさんとの微妙な距離感など、人間関係の複雑さが巧みに表現されています。正直なところ、最初は内容が難しいのではないか、気持ち悪さが先立つのではないかという不安がありました。しかし実際に読んでみると、そうした懸念は払拭されました。むしろ、都市に生きる若者たちの孤独感や自己認識の問題について、深く考えさせられます。 文体も洗練されていて読みやすく、短編のようなコンパクトさながら、かなりの深度を持った作品です。最後のページまで手を休められませんでした。芥川賞受賞作の評判は伊達ではないと実感した一冊です。慎重な私でも満足できる傑作だと思います。

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