三浦の本棚
傲慢と善良

傲慢と善良

辻村深月 朝日新聞出版 2022年9月7日

感想

婚約者が忽然と姿を消すという衝撃的な出来事から始まるこの作品は、単なるミステリーではなく、人間関係の本質に迫る深い問題作だと感じました。 主人公が相手の「過去」と向き合っていく過程で、恋愛とはいかに相手を理解しようとする営みであるか、そしてその困難さが痛いほど伝わってきます。35歳になって人間関係に悩むことも多い身としては、この物語が投げかける問いが本当に重要だと思わされました。 朝井リョウの解説も秀逸で、作品全体の構造がより立体的に見えてきます。恋愛に限らず、仕事での人間関係や家族との問題など、生きていく上で直面する様々な悩みに対して、この物語が何らかの視点をくれるという評判は本当です。 慎重に選んで読む私としては、時間をかけた甲斐のある一冊となりました。人生経験を積んだ大人だからこそ響く、そんな物語だと思います。

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