莉子_booksの本棚
感想

SNSで話題になっているというのを目にして、ついつい手に取ってしまいました。そしてその判断は大正解でした。 遠藤周作のこの作品は、信仰とは何か、苦しみの中で神とどう向き合うのかという、極めて深い問いを投げかけてくるもの。舞台となる江戸時代のキリスト教弾圧という歴史的背景も興味深く、引き込まれました。 何度も繰り返される「沈黙」という言葉。その重みが読むたびに胸に響きます。主人公が直面する葛藤が生々しく、時に苦しくなるほどの迫力があります。でも同時に、その苦しさの中にこそ人間らしさがあるんだとも感じさせてくれる。 公務員という職業柄、社会的な責任や信念に関する物語には特に共鳴するのかもしれません。個人の良心と社会的な圧力、その間で揺れ動く心情がこんなに見事に描かれた作品は、そう多くはないと思います。文庫版で手軽に読める古典というのも嬉しい。 話題の理由がよくわかりました。心に深く刻まれる一冊です。

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