キネマの神様
文藝春秋 | 2011/05/10
みんなの感想
話題になっているこの本、やっぱり素敵でした。主人公の歩さんと、映画好きなお父さんとの関係が、どんどん変わっていく様子がね、本当に心が温かくなるんです。 39歳で会社を辞めて、さらにお父さんの借金問題まで出てくると、もう大変だなって思うんですけど、映画という共通の趣味を通じて親子がつながっていくところが、何ともいえず素敵。私たちの世代が好きそうな映画もいっぱい出てきて、そういう部分でも楽しめました。 パートで働きながら読みましたが、通勤の合間にも引き込まれてしまいました。映画の話が細かく書かれているのに、映画をあまり知らない人でも十分楽しめるのが良いんだと思います。それにね、家族の絆って何なのか、改めて考えさせられるというか。 時々じーんと来る場面もありました。最後まで読んで、この父と子の物語、本当にいい話だなあって思いました。映画が好きな人はもちろん、家族のことを考えたい人にもおすすめできます。
人生の予測不可能さについて改めて考えさせられた一冊です。39歳で会社を辞めた主人公と、借金を抱えた父親の関係修復を映画というフィルターを通して描く構成が実に巧みでした。 フリーランスとして自分も不確実な世界で生きているため、人生の転機や家族関係の葛藤には強く共感できました。特に、会社員という安定から転がり落ちる場面から、映画という趣味が救いになっていく流れは、仕事と人生のバランスについて考えさせられます。 山田洋次の温かみのある視点が全編に通っており、重いテーマでありながら読み終えて前向きな気持ちになれるのが素晴らしい。父と息子の関係性の描き方も、一般的な対立ドラマに終わらず、映画という共通言語を通じた相互理解へ進んでいく過程が自然で信じられます。 慎重に本を選ぶ性分ですが、この作品は間違いなく時間を使う価値があります。人生の諸々に疲れた時、あるいは家族関係に悩んでいる時に手に取ると、何か柔らかい希望が得られると思います。
新社会人になって映画への興味も高まる時期だからこそ、この本を手に取ってみました。 正直なところ、期待と現実のギャップを感じた一冊です。映画愛に満ちた父親と息子の絆を描く話として、その題材自体は非常に魅力的なのですが、実際に読み進めてみると、ストーリーの展開が予測可能で、エモーショナルに訴えかけてくる部分が少し表面的に感じられました。 ただし、映画そのものへの向き合い方や、人生を変える出会いの描き方には良さがあります。特に映画批評の部分は丁寧で、映画好きなら楽しめるでしょう。家族をテーマにした物語として"きちんと"はまとまっており、それなりに読み応えはあります。 僕たちの世代にとって、仕事と趣味のバランスについて考えさせられる作品ではあるのですが、心に深く刺さるような感動までは至りませんでした。良い本ですが、必読書というほどではないというのが正直な感想です。
仕事も人生も停滞していた主人公が、映画という媒介を通じて家族との関係を修復していく過程が素晴らしい。山田洋次監督らしい温かみのある視点で、決して派手ではない日常の変化を丁寧に描いている点が心を掴まれた。 特に印象的だったのは、映画への向き合い方だ。エンジニアとしてロジカルに物事を考える癖がある自分だからこそ、映画を通じて別の価値観に触れることの大切さが身に沁みた。親子が同じ作品について語り合う場面は、単なる感動話に留まらず、コミュニケーションの本質について考えさせられた。 文体も読みやすく、映画愛に満ちた描写は映画好きでない読者にも十分魅力的だ。借金や失業といった重いテーマを扱っているにもかかわらず、決して沈鬱にならず希望を感じさせるバランス感覚が秀逸。人生に迷いを感じている人、家族関係に課題を抱えている人にこそ読んでほしい作品だ。
人生も後半戦に入った身だからか、この本は妙に心に響きました。会社を辞めて人生に迷う39歳の息子と、映画とギャンブルに明け暮れる父親という設定が、なんとも親子関係について考えさせられます。 映画への純粋な愛情が、壊れかけた家族を結びつけていく過程が素晴らしい。著者・山田洋次さんならではの温かみのある筆致で、重い題材を決して暗くさせていません。借金だの人生の挫折だのといった現実的な問題を抱えながらも、映画というもの、そして共通の興味を通じて家族が再生していくという物語は、昭和的な人情味に満ちています。 ただ、話が進むにつれやや展開が予定調和的に感じられたのは事実。もう少し複雑な葛藤があってもいいのではないかという思いもあります。それでも、映画好きはもちろん、家族との関係に疲れた中年の方、人生について静かに考えたい方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。文庫版で手軽に読めるのも、この季節の夜長にぴったりですよ。