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風と共にゆとりぬ

風と共にゆとりぬ

朝井 リョウ 文藝春秋 2020年5月8日

感想

直木賞作家による人気エッセイ集が文庫化されたということで、手に取ってみました。正直なところ、タイトル通り「読んで得るもの特にナシ」という謳い文句に惹かれた部分もあります。 実際に読むと、その言葉は謙遜ではなく本当のことだと実感します。レンタル彼氏との対決、会社員としてのポンコツぶり、ハワイへの冒険、そして衝撃的な痔瘻手術の経験録まで、バラエティに富んだエッセイが500枚超詰め込まれています。 何が素晴らしいかというと、どの話も作者の自虐的なユーモアに満ちていて、読んでいて思わず笑ってしまうんです。知識や教養を深めるわけではない。ただ純粋に面白い。ときには下ネタも混じるような庶民的なユーモアですが、それが誠実で、どこか温かみを感じさせます。 人文・思想書ばかり読んできた僕だからこそ、こうした気楽なエッセイの価値を改めて認識できた気がします。疲れたときに、笑いたいときに開く一冊。評価が高い理由がよく分かります。