ハリネズミの願い

ハリネズミの願い

トーン・テレヘン / 長山 さき

出版社:新潮社 出版年月日:2016/06/30

新潮社 | 2016/06/30

5.00
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

このところ書店でよく見かけるタイトルだったので、手に取ってみました。ハリネズミという地味で棘々しい存在が主人公というのも、なんだか惹かれるものがありました。 読んでみて驚いたのは、この小さな物語がこんなにも深く心に沁みるということです。誰かを招待したいのに、ハリが邪魔で踏み出せないハリネズミの揺らぎながらの勇気──それって、私たちの人間関係そのものじゃないですか。年を重ねると、つきあいって難しくなっていくものです。だからこそ、このハリネズミの葛藤が他人事とは思えません。 オランダの作家による作品というのも今風で、翻訳文学ならではの温かみと独特な空気感があります。シンプルな文体なのに、人間の根源的な不安や希望がしっかり描かれていて。子ども向けではなく、むしろ大人だからこそ感じられる味わいがあると思います。最後のページをめくった時の静かな余韻がいつまでも残っています。話題本として読む価値、十分にあります。

感想

人付き合いが苦手なハリネズミが、勇気を出して招待状を書く──そんなシンプルだけど素敵なストーリーです。読んでいて、自分の若い頃を思い出しました。自営業をやってると、お客さんや取引先との関係で気を遣うことばかり。でも年を重ねてくると、そういった葛藤も大事な経験だったんだと感じるようになるんですね。 この物語はそれを優しく、でも深く問いかけてくる。臆病で気難しいハリネズミの気持ちが本当によく描かれていて、思わず応援したくなります。もしかして拒絶されるかもしれない、でも勇気を出してみる。そういう人間らしい葛藤が、どうぶつたちの世界で自然に表現されているのが秀逸です。 オランダの作家さんだそうですが、文化の違いを感じさせない普遍的な温かさが満ちあふれている。忙しい日々の中で、ふと立ち止まって心を整理したいときに読むのに最適な一冊。大人だからこそ心に響く、そんな物語に出会えて良かった。

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