博士の愛した数式

博士の愛した数式

小川 洋子

出版社:新潮社 出版年月日:2003/08/29

新潮社 | 2003/08/29

4.00
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

エンジニアとしてロジカルに物事を考える習性のせいか、感情的な小説は敬遠しがちな私ですが、この作品は違いました。記憶を失った天才数学者と家政婦、そして少年という三人の関係性が、数式という普遍的な美しさを通じて描かれていく様子に、思わず引き込まれてしまいました。 数学という一見難しいテーマでありながら、実際には非常に読みやすく、むしろ優しさに満ちた物語です。登場人物たちの微妙な心情の変化や、記憶という人間にとって最も大切なものについて考えさせられる深さがあります。何度もハッとさせられる場面があり、知的興奮と感情的な感動が同時に訪れる経験は稀です。 著者が数学の美しさを物語の中核に据えながらも、決してそれに溺れず、人間関係の繊細さを優先させる構成力も見事。エンジニア気質の私でも、むしろそういう気質だからこそ、論理と感情のバランスが素晴らしいと感じました。仕事が忙しい時期でも一気読みしてしまうほどの魅力があります。迷わずお勧めできる傑作です。

感想

人生八十年も生きていると、本との出会いも限られてくると思っていたが、この作品には驚かされた。記憶を失った数学者と家政婦、そして彼の息子という三人の関係を通じて、これほど深い人間の絆を描いた作品は珍しい。 若い頃は数学など縁遠い話だと思っていたが、この本では難しい理論ではなく、数式が愛情や人生の真理を語りかけてくる。博士がタイガースの話題で息子と心を通わせるシーンなど、自営業で人間関係を大切にしてきた身としては、つい自分の経験と重ね合わせてしまった。 何度も読み返したくなる作品だ。世界は確かに驚きと歓びに満ちている。この年になって、そんなことを教えてくれるなんて。話題になったのも納得できる傑作である。自営業の仕事の傍らで疲れた心が癒される。孫にも勧めたいほどだ。

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