映画ノベライズ ブラックナイトパレード

映画ノベライズ ブラックナイトパレード

七緒 / 中村 光 / 鎌田 哲生 / 福田 雄一

出版社:集英社 出版年月日:2022/12/20

集英社 | 2022/12/20

4.33
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

最近、映画化作品の原作本を読む機会が増えているが、この『ブラックナイトパレード』は映画ノベライズながら実に良くできている。失敗続きの冴えない男が、黒いサンタに強制的に北極へ連れ去られるという荒唐無稽なプロット。普通ならば警戒するところだが、読み始めるとそのテンポの良さと、キャラクターの魅力に引き込まれる。 人生の停滞感を抱えた主人公に感情移入しつつも、奇想天外な世界観が現実の息苦しさを吹き飛ばしてくれる。個性的な登場人物たちとの掛け合いからは、職場の人間関係についても考えさせられた。仕事とは何か、やり甲斐とは何かといった問い掛けが自然に織り込まれており、決して軽い娯楽作ではない深さがある。 58年生きてくると、得体の知れない不安を感じることも多いが、本書はそうした日常の閉塞感をユーモアとファンタジーで解き放つ力を持っている。映画も気になるが、文章でしか味わえない余韻もある。心が凝り固まった時に手に取りたい一冊だ。

感想

最近、職場の疲れを癒すために軽めの小説を探していたところ、この作品に出会いました。映画化されたということで興味を持ったのですが、読んでみて正解でした。 冴えない男が突然ブラックサンタに連れ去されて北極のサンタクロースハウスで働くことになる――設定だけで既に笑えます。しかし単なるコメディではなく、主人公が人生の挫折から立ち直る過程が丁寧に描かれている点が素晴らしい。個性的なキャラクターたちとの交流を通じて、少しずつ変わっていく主人公の姿が心に響きます。 50歳にもなると、若い頃の失敗や後悔と向き合う機会も増えますが、この作品はそうした葛藤に静かに寄り添ってくれるような温かさがあります。ハートウォーミングながらも、クリスマスという舞台設定も相まって、読んでいて自然と笑顔になれる。 文庫本で気軽に読める長さなので、通勤時間や休日にぴったり。映画も見たくなる、そんな良い意味で「いい時間」をくれた一冊です。