映画ノベライズ ブラックナイトパレード
集英社 | 2022/12/20
みんなの感想
クリスマス時期に映画化された作品ということで、なんとなく手に取ってみました。コンビニでくすぶる冴えない男が黒いサンタに拉致されて、北極で働くことになる——設定だけで笑える奇想天外なコメディです。 本文を読み進めると、確かにテンポよく進みますし、登場人物たちのキャラは濃い。ハッキング好きの志乃、チャラい田中皇帝、無愛想な料理長古平など、個性的なメンバーが揃っていて、彼らとの掛け合いは悪くない。映画化を意識したのか、映像的に分かりやすい描写も多いので、さくさく読めます。 ただ、正直なところ「もう一歩」という感じが拭えない。ノベライズというフォーマットの宿命かもしれませんが、深掘りが足りなくて、キャラたちがどこか表面的に見えるんです。ストーリーも予想通りに進む感じで、意外な展開や感動みたいなものに乏しい。気軽に読む分にはいいけど、記憶にしっかり残る何かがあるかというと、微妙ですね。 気軽に楽しめるエンタメ小説としては及第点。でも、特別な思い入れを持つまでには至りませんでした。
最近、映画化作品の原作本を読む機会が増えているが、この『ブラックナイトパレード』は映画ノベライズながら実に良くできている。失敗続きの冴えない男が、黒いサンタに強制的に北極へ連れ去られるという荒唐無稽なプロット。普通ならば警戒するところだが、読み始めるとそのテンポの良さと、キャラクターの魅力に引き込まれる。 人生の停滞感を抱えた主人公に感情移入しつつも、奇想天外な世界観が現実の息苦しさを吹き飛ばしてくれる。個性的な登場人物たちとの掛け合いからは、職場の人間関係についても考えさせられた。仕事とは何か、やり甲斐とは何かといった問い掛けが自然に織り込まれており、決して軽い娯楽作ではない深さがある。 58年生きてくると、得体の知れない不安を感じることも多いが、本書はそうした日常の閉塞感をユーモアとファンタジーで解き放つ力を持っている。映画も気になるが、文章でしか味わえない余韻もある。心が凝り固まった時に手に取りたい一冊だ。
話題になってたから読んでみたんですけど、正直微妙でした。設定はめっちゃ面白いじゃないですか。冴えない男がいきなり黒いサンタに連れ去られて、北極のサンタ会社で働くことになるとか、これ漫画化したら絶対映えると思うんですよ。 ただ映画ノベライズだからか、テンポが独特で。盛り上がるところが盛り上がらないというか、キャラもなんか薄っぺらく感じちゃって。個性的な同僚たちの掘り下げが浅くて、もったいないなって感じました。 面白い要素はちゃんと詰まってるんです。シュールなコメディとしては及第点だし、クリスマス時期に読むなら雰囲気もいいと思う。でも本当にそこまで心が掴まれることがなくて、読み終わったあとに「あ、終わった」という感じ。ライトノベルとか漫画好きの私からすると、もっとキャラ立てしてくれたら絶対ハマれたと思います。 クリスマス前にサクッと読むには良いのかな、くらいの評価です。
最近、職場の疲れを癒すために軽めの小説を探していたところ、この作品に出会いました。映画化されたということで興味を持ったのですが、読んでみて正解でした。 冴えない男が突然ブラックサンタに連れ去されて北極のサンタクロースハウスで働くことになる――設定だけで既に笑えます。しかし単なるコメディではなく、主人公が人生の挫折から立ち直る過程が丁寧に描かれている点が素晴らしい。個性的なキャラクターたちとの交流を通じて、少しずつ変わっていく主人公の姿が心に響きます。 50歳にもなると、若い頃の失敗や後悔と向き合う機会も増えますが、この作品はそうした葛藤に静かに寄り添ってくれるような温かさがあります。ハートウォーミングながらも、クリスマスという舞台設定も相まって、読んでいて自然と笑顔になれる。 文庫本で気軽に読める長さなので、通勤時間や休日にぴったり。映画も見たくなる、そんな良い意味で「いい時間」をくれた一冊です。