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恋とはどんなものかしら〈上〉 〜当て馬令嬢の場合〜(1)

恋とはどんなものかしら〈上〉 〜当て馬令嬢の場合〜(1)

鈴音 さや KADOKAWA 2026年3月25日

感想

ライトノベルは普段あまり手にしないジャンルですが、「カクヨムコンテスト大賞受賞」という謳い文句に引かれて読んでみました。 乙女ゲーム世界への転生、当て馬令嬢という設定、身分差のロマンス——確かに現代的な創意工夫が随所に見られます。主人公ヴィクトリアが自分の運命を切り抜けようとする主体性も良い。ただ、物語の構造自体は既出のテーマに依存している感は否めません。 何より、この手の作品に求められるはずの、キャラクターの心理描写の深さや、設定を生かした独創的な展開において、物足りなさを感じてしまいました。当て馬というポジションの持つ葛藤や、身分差による葛藤をもっと掘り下げられたら、より説得力のあるストーリーになったのではないでしょうか。 受賞作として及第点の作品ではありますが、自営業の傍ら培われた「良質な物語」への目利きから言うと、非常に「可もなく不可もなし」という印象です。続きが気になるほどではありませんが、このジャンルを楽しむ層には十分な出来栄えなのでしょう。