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仏さまの履歴書

仏さまの履歴書

市川智康 水書坊 1979年3月1日

感想

長年自営業を営む中で、様々な仏閣を訪れる機会に恵まれてきたが、本書を手にして初めて気づかされたことが多い。仏さまの世界も、実は極めて分業的で専門化されているのだという、この発想の転換は実に興味深い。 著者の視点は極めて実践的だ。「子授」「除災」「財福」といった願いごとの種類に応じて、どの仏さまにお参りすべきかを教示するという構成は、単なる宗教知識の羅列に留まらない。仏さまそれぞれの生いたちやエピソードを知ることで、信仰の質が変わる。自分たちの願いに最も適切な対象を選べるようになるという、ここまで誠実な視点の書は稀だ。 新書というコンパクトな形式で、これだけの情報量と奥深さを備えているのも評価に値する。仏教史や宗教学の基礎知識がなくても読み進められるよう工夫された筆致は、著者の経験と教養の厚みを物語っている。五十代を超えた身として、人生経験を重ねるにつれて、こうした知識の実用性を痛感することが増えた。本書は単なる信仰ガイドではなく、人生の導き手となり得る一冊である。