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感想

瀬尾まいこのこの作品は、本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』の評判から期待を込めて手に取った。著者自身が「人生を全部込めた」と語るだけあって、家族という小さな世界の中に、実に深い人間ドラマが息づいている。 シングルマザーの主人公・美空と、彼女を取り巻く家族たちの関係性が丹念に描き出されている。親になることで初めて気づく親への感謝、それでいて親との葛藤は消えない、という矛盾と葛藤。自営業の身として、仕事と家庭のバランスを取る難しさを思いながら読み進めると、この物語が単なる家族小説ではなく、人間関係の本質を問う作品であることに気づかされる。 特に印象的だったのは、各登場人物の内面が丁寧に掘り下げられている点だ。一見すると複雑に見える人間関係も、著者の筆遣いにより、その根底にある愛情や葛藤が自然と理解できる。人文・思想的な深さと、読みやすい物語性が見事に調和している。 人生経験を重ねた読者ほど、この作品の真価が理解できるのではないだろうか。

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