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私が最後に遺した歌(2)

私が最後に遺した歌(2)

一条 岬 KADOKAWA 2026年2月25日

感想

実写映画化で話題になっているシリーズだと聞いて手に取った。正直なところ、ライトノベルという枠組みに対しては多少の先入観があったのだが、この作品はそうした予断を見事に払拭してくれた。 本作は『君が最後に遺した歌』のヒロイン・遠坂綾音の視点から描かれた物語である。高校生活で孤立していた少女が、クラスメイトの詩人との出会いを通じて、世界の美しさを発見していく過程が丁寧に紡ぎ出されている。音楽と文学の融合という切り口も秀逸だ。 特に印象的だったのは、引きこもりがちだった主人公の心の変化が、説教的にならず自然な流れで描かれている点である。人間関係の複雑さや、親からの愛情、そして同年代の人間との繋がりの大切さが、あの手この手で表現されている。 自営業で様々な人間模様を見つめてきた身としては、この作品における人物描写の繊細さに共感を覚えずにはいられない。若い世代向けの作品であることを差し引いても、大人が読む価値は十分にある傑作だと考える。