12歳冬物語

12歳冬物語

澤田 徳子

出版社:文研出版 出版年月日:1993/10/01

文研出版 | 1993/10/01

4.50
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

孫娘がいるせいか、児童文学への目線が変わってきた。この作品も彼女の図書室推薦リストに載っていたのだが、手に取って良かったと思う。 12歳の少女が経験する不可思議な出来事を描いた作品だが、単なるファンタジーではなく、その奥底に流れる深い感情の揺らぎが丁寧に拾われている。タンポポとウサギという一見ほのぼのとしたイメージながら、主人公が目にした世界の描写は実に詩的だ。 自営業で何十年も生きていると、現実と幻想の境界線について考えることがある。この作品はそうした問いを自然な形で読者に投げかける。子ども向けとされているが、むしろ人生経験を積んだ者にこそ心に響く要素が満載だ。成長期の揺らぎ、不安、そして小さな魔法のような救い——どれもが丁寧に編まれている。 文体の優雅さも特筆すべき点。教訓くさくならず、子どもの視点と大人の感受性のバランスが見事に取れている。人文的な営みとしての児童文学の可能性を改めて感じさせられた一冊である。

感想

子どもの頃に読んだ冒険ファンタジーが無性に懐かしくなって、ふと手に取った一冊でした。 最初のページから引き込まれました。主人公の戸惑いと驚きがそのまま伝わってくるような文章で、自分も一緒に不思議な世界へ迷い込んだような感覚に。タンポポやウサギといった身近な存在が魔法のように変わっていく描写が、本当に素敵なんです。 大人になって読むと、単なる冒険物語ではなく、何か心の奥底に訴えかけるものがあるんですよね。忙しい日常を送っていると見落としてしまう、子どもの頃の純粋な驚きや喜びを思い出させてくれます。仕事で疲れた夜、ベッドでこの本を読んでいると、心がふわっと軽くなるのを感じました。 児童文学という枠にはおさまらない、万人向けの優しさと温かさがあります。年代を問わず、疲れた心に栄養をくれる素敵な作品だと思います。大切に手元に置いておきたい一冊になりました。

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