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感想

ソロー作品としてはやや期待値に達しなかったというのが正直な感想だ。『ウォルデン』の深い思索性に比べると、本作は旅行記としての側面が強く、自然描写は確かに精密で美しいのだが、どこか表層的に感じてしまった。 19世紀のメイン州奥地への三度の遠征を記録した作品で、アメリカ開拓時代の未踏の荒野を体験した著者の眼差しは貴重である。特にカタディン山登頂の場面や、アベナキ族のガイドとの交流を通じた自然観の描写には、当時としては先駆的な視点がある。人間が自然の一部であるという彼の哲学も一貫している。 だが長年の自営業経験で、様々なテキストに当たってきた身からすると、この作品から大きな思想的な飛躍を感じられなかった。旅の詳細は詳細に記されているが、そこから引き出される本質的な問いかけが弱いのだ。むしろ『ウォルデン』で既に提示された思想の、やや冗長な実例集といった印象を拭えない。 古典として価値はあるが、著者のより良い作品がある以上、わざわざこれから始める読者は少ないだろう。自然書としても自己啓発書としても、中程度の満足度に留まる一冊である。

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