読書三昧の本棚
感想

話題になっていたので手に取ってみたのですが、期待以上の迫力でした。ミステリー界の無冠の帝王、という惹句に違わぬ重厚感。 主人公の男が「悪魔になる」という覚悟で事件に立ち向かう設定が、本当に心を掴みます。次々と起こる凶悪事件の数々——カニバリズムやカルト宗教といった重いテーマも、単なる衝撃狙いではなく、この男が何のために苦しむのかを深く問う作品になっています。 自営業をしていると、時に理不尽な現実と向き合うことがあります。この作品を読んでいて感じたのは、そうした苦しみや葛藤が、人間らしさの証だということ。誰かの痛みを自分の痛みとして感じることの重さと美しさが、緻密に描かれていました。 腐敗した大組織と孤立した特殊犯罪捜査室という対比も秀逸です。シリーズ最大の転換点という説明に納得しながら、先の展開が気になって止められなくなりました。年を重ねた今だからこそ、この深さが響きます。

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