ななちゃんの本棚
夜のピクニック

夜のピクニック

恩田 陸 新潮社 2004年7月30日

感想

高校生活の最後の夜を舞台にした作品だと聞いて、正直なところ少し躊躇しました。青春小説は時に説教的になりがちですし、歳をとった自分が感情移入できるか不安だったのです。しかし、読んでみると杞憂でした。 著者・恩田陸の筆致が秀逸で、八十キロの歩行祭という限られた時間軸のなかで、複数の視点から高校生たちの心理が丁寧に描かれています。特に印象的だったのは、貴子が抱える「秘密」の扱い方。謎めかしているだけでなく、それが人物たちの関係性にもたらす影響まで考慮された構成になっていて、引き込まれました。 フリーランスとして働く身だからこそ感じるのですが、現在と過去の時間が複雑に絡み合う物語構造が心地よく、読みながら自分の人生を重ねる瞬間もありました。青春とは何か、友情とは何かを改めて問い直す作品です。純粋なエンタメとしても秀逸で、迷わず勧められる一冊です。

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