ちーちゃんの本棚
感想

芥川賞受賞作ということで手に取ってみたんですけど、予想以上に引き込まれました。一軒の家を舞台に、三代の住人たちの人生が層のように積み重なっていく構成がすごく上手いんです。 建物そのものが記憶を持つ存在として描かれているのが印象的。壁や窓、階段といった空間が、そこに生きた人たちの想いや時間を静かに抱き込んでいく様子が、まるで呼吸しているみたいに感じられます。推薦文にもあった「物質が語る」というのは本当その通りで、モノを通して語られない感情や後悔が浮かび上がってくる。 ちょっと回想シーンが多くて、最初は時系列を整理するのに手間取りましたが、読み進むうちにそれが作品の狙いなんだなって理解できます。完成度が高いというのも納得。特に終盤の仕掛けは、これまでの積み重ねが一気に意味を持つ感じで素敵でした。 気軽に読むというより、じっくり向き合う必要がある本ですけど、そういう読書も好きな人なら絶対おすすめです。

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