近藤の本棚
感想

法廷もの小説は好きなのですが、このタイトルには正直なところ最初スルーしていました。でも書評で気になる評価をいくつか見かけたので、思い切って手に取ってみることにしました。 結論として、その判断は正解でした。弁護士が大学時代の友人の刑事事件を担当することになるという設定は、一見ありがちに見えるかもしれません。しかし読み進むうちに、単なる法廷サスペンスではなく、過去と現在が複雑に絡み合う人間ドラマであることがわかります。 特に評価したいのは、登場人物たちの動機や感情が丁寧に描かれている点です。技術者としての職業柄、「理由のない行動」には強い違和感を持つのですが、この作品に登場する誰もが、それぞれの背景を持った説得力のある理由で動いています。約20年前の事件が現在にどう繋がるのか、その構造の見事さには脱帽です。 難点としては、後半に向けて複数の人物関係を追わなくてはならず、やや読むのに集中力が必要な点でしょうか。ただこれは批判というより、むしろ作品の密度の濃さを示す証拠だと言えます。じっくり腰を据えて読む価値のある一冊です。

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